火葬近年、亡くなった後に献体を希望する方が増加している傾向にあります。献体とは、学生が解剖学を学ぶための教材として死後に遺体を提供することです。解剖への忌避感が薄れてきたこともあり献体を希望する方は増えつつあるのですが、実際の手続きなどについてはあまり知られていないのが現実です。
今回の記事では、献体について詳しくご紹介致します。

献体について

将来献体とは、医学・歯学の大学における解剖学の教育や研究に役立たせる為に自分の遺体を無条件・無報酬で提供することをいいます。献体を行うことにより将来、医師や歯科医師を志す学生が人体解剖学実習で人体の構造を知ると共に、献体者への感謝の気持ちと自らの責任を自覚しより良い医師・歯科医師となるために必要な医の倫理を学ぶという大きな役割を担っています。歯科医師と解剖学が結びつきにくいと思いますが、口の中は全身と深い関わりをもっている事から、歯の治療についての専門的な知識や技術を学ぶ他に内科・外科などの諸学科についても講義が行われていて全身についての人体解剖学の講義と実習が行われているそうです。
献体を希望の方は生前から献体したい大学または関連した団体に名前を登録する必要があります。献体は希望すれば誰でもできるものではなく条件によってはできない場合があります。例えば亡くなられてから時間が経ち過ぎている場合や死因等に疑問がもたれ司法解剖や行政解剖または病理解剖に付された場合、ドナー登録をしている方・病気や障害が認められる方・事故等が原因で損傷がひどい方等は献体はできません。また、重大な感染症の存在が予想される場合にも献体は出来ませんので、近年ではコロナウイルス感染拡大の影響もあり新型コロナウイルス感染症(肺炎など)による死亡または疑いがある場合には献体はできません。それに伴い緊急事態宣言や休業要請等により職員等への感染予防のため遺体の引き取りを停止している可能性がありますので、条件については行う大学によっても違いがあるので確認してみましょう。かつては献体の数が不足しており、大学のほうからお願いする形で献体の提供を呼び掛ける活動をすることもありましたが近年では自ら希望する方が増えているようです。献体を行う場合には、搬送費と火葬費のみ大学が負担してくれます。通夜や葬式などの費用は個人の負担となりますから、費用の問題で献体を考えている場合はこの点をしっかりと把握する必要があります。

献体の流れと注意点

必要書類献体に申し込む場合は、献体篤志家団体や医科・歯科大学へ申し込みをします。大学によって連絡方法は異なりますが献体に関するパンフレット等と入会申込書が送られてきますので必要なことを記入し捺印した上で郵送します。入会申込書に本人の自署・押印、同意書に親族(配偶者・親・兄弟姉妹・子・孫など)の同意の署名・捺印が必要となりますので肉親者の同意を得ておくことが必要です。また家族や身近な人にもきちんと知らせ不慮の事故などにも備えておくことも大切です。遠方に転居したときには最寄りの大学に登録する場合もあるので、事前に問い合わせて確認しておく必要があります。不明な点は団体か大学に確認をしましょう。申込書を提出すると会員証(献体登録証)が発行され、会員証には献体先の大学名や死亡した際にどのように連絡したら良いかという点も表記されていますので大切に保管しておきましょう。
献体登録をされている方の遺体の引き取りについては亡くなった後に速やかに遺体の防腐処理をする必要がありますので可能な限り早めに登録先の大学に連絡する必要があります。連絡先は会員証に記載されている大学の連絡先に連絡しその電話で、亡くなられた方の氏名・会員番号・死亡年月日(時刻)・死亡場所・連絡した方の氏名(続柄)・住所・電話番号などの情報の他にお通夜や告別式の予定等を確認されますので会員証を手元に用意して連絡をしましょう。遺体を引き取りにくる日時や場所も伝えられますので動揺している最中でしょうから忘れないようにメモを取ると安心ですね。また、遺体を引き取りにくる担当者が署名および捺印が必要な書類を持ってきますから印鑑・埋火葬許可証の原本・死亡診断書のコピーを用意する必要があります。こちらについても電話で伝えられますので、よく確認して不備がないようにしましょう。遺体の取扱いは、法律によって厳格に規制されていますから法律に従うことはもとより、教職員及び学生の方々は御霊に対し深い敬意と感謝の念を忘れず丁重に取扱ってくれます。解剖学実習が終わった遺体は大学の費用で火葬場にて茶毘にふし、遺族に遺骨を慰霊祭時などに返されます。
献体をして葬儀を行う際には注意しなければならない点がいくつかあります。献体は費用の負担を抑えるためだけに安易に登録するのではなく、本来の意義や目的について十分に理解しておくことが必要です。献体の大きな注意点として遺体が戻ってくるまでには通常であれば一年から三年、長い場合には三年以上の期間がかかる事があるという点があります。なぜこれだけ時間がかかるのかというと、防腐処理などの解剖準備が半年ほどかかり、実際の実習期間にもさらに時間がかかるからです。実習日程の影響や献体数が多い場合などは順番待ちとなることがあるようです。いずれにしても遺体はすぐには戻ってこない為、遺体がある状態で葬儀を行いたいという場合は献体自体を考え直す必要があるでしょう。また、献体登録には親族の方(配偶者・親・兄弟・子・孫など)の同意書が必要です。このように実際に献体を実行できるのは遺族(肉親の方々)であり、申し込み者本人ではありませんから生前に献体登録をして希望されていてもご遺族の中に一人でも反対の方がいらっしゃる場合には献体は実行されません。ですから献体登録をする時にあらかじめ肉親の方々の同意を得ておくことが大切です。また、登録後も多くの身近な人達に理解してもらうようその旨を伝えておくことが必要です。献体をすると遺骨が戻ってくるのに時間も掛かる為不安に思う家族もいるでしょう。葬儀の有無だけでなく家族が混乱する結果にならないよう、事前に話し合うことが大切です。

献体した際の葬儀

墓地献体をした場合、葬儀はできないのではないかと考える方もいらっしゃるかと思います。まず献体は48時間以内に大学に引き渡さなくてはならない為、基本的に葬儀は死後より二日以内に行わなければなりません。亡くなった当日か翌日にお通夜を行い葬式・告別式を行い、その後に大学へ搬送します。その場合は葬儀社にも事前に献体をする旨を伝え大学側の時間にあわせて式を終えるように段取りをする必要があります。葬儀の流れは通常よりもあわただしくなることが予想されますから事前にどのようにしたいのかを決めておくとスムーズでしょう。また、献体後に遺体なしで葬儀をするという方法もあります。献体を行った後に葬儀をする場合は、遺体がない状態でお通夜・葬式を行います。遺影や位牌のみで故人とのお別れをする形式です。この場合は時間に余裕をもって葬儀を行えるというメリットがありますが、住職にも事前に伝え了承を得るようにしなければいけません。また、献体後に遺骨が戻ってきてから葬儀をするという方法もあります。故人とのお別れを迅速かつ丁寧に行いたい場合や故人と長い間離れるのは寂しいと考える場合はおすすめできない方法といえるでしょう。場合によっては、葬儀を行わないという選択肢もあります。負担を少しでも軽くしようという考えから葬儀は行わないという選択をする方もいらっしゃいます。大学は、献体後に火葬をしてくれます。身寄りがない場合には共同墓地に埋葬してくれるということもあるようです。行う内容は担当の大学や団体によって異なりますから葬儀をしない場合は事前に確認しておくとよいでしょう。

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