宗派

日蓮宗とは日蓮(日蓮聖人)が説いた宗派です。様々な災害や戦乱で混沌としていた時代に人々を救うために生まれた日蓮宗は現在も多くの人々に信仰され続けています。
今回の記事では、日蓮宗についてご紹介致します。

日蓮宗とは

教え

日蓮宗は鎌倉時代中期に日蓮が興した宗派です。16歳で出家し比叡山や高野山などで修業を積んでいた日蓮は、お釈迦さまの教えの中でも「法華経」こそが世の中を救う絶対最高の教えであると確信します。そして「天変地異が繰り返されるのは邪法や悪法が世間に広まっているからだ」と説いた「立正安国論」を執権北条時頼へ提出しますが、その内容を幕府に危惧され伊豆に流罪されてしまいます。しかし日蓮はそういった数々の迫害を乗り越え、1253年にはお釈迦様による法華経の教えをよりどころする日蓮宗を立教し布教につとめました。現在、日蓮宗寺院は全国に5,300ヵ寺あると言われています。日蓮は晩年を山梨県で過ごし日蓮と弟子によってたくさんの寺が開かれた為、山梨県は特に日蓮宗を信仰する人が多い地域となっています。法華経を説いたお釈迦さまは永遠の昔に悟りを開いた仏さま、すなわち「久遠実成の本仏」が自らを表した姿です。法華経も、本仏が経典として実態を示したものなのです。法華経を日本に広宣流布した日蓮の教説を通して法華経を理解し、実践していくのが日蓮宗です。法華経の功徳すべてが「南無妙法蓮華経」の七文字にこめられていると日蓮聖人は考え「法華経の内容をすべて信じ帰依する」という意味の「南無妙法蓮華経」を唱えることを何よりも重要な修行としています。また、日本の仏教の主だった宗派の中で日本人の宗祖の名前がそのまま宗派名となっているのは、日蓮宗だけです。

日蓮宗の教えや特徴

特徴

日蓮宗ではお釈迦様が説かれた教え、妙法蓮華経(法華経)を何よりも大切にしています。日蓮は、法華経はお釈迦様の心そのものを表したもので題目である「南無妙法蓮華経」の7文字こそ功徳のすべてであると考えました。当時、法華経以外の経典では女性や武士などをはじめとする一部の人々は成仏はできないとされていました。その状況下で法華経の説く「差別なく万人は平等に成仏できる」という仏教思想の原点に今こそ戻るべきであるとした日蓮の教えは当時の仏教界に新たな風を吹き込んだとされています。宗派名に日本人の宗祖の名前が使われているのは、日蓮宗だけです。それほど日蓮宗は日蓮が与えた多大な存在意義が深く反映されている宗派であるといえるでしょう。その他の特徴については下記の通りです。

読まれる経典
「妙法蓮華教」(法華経)
お唱えする念仏
「南無妙法蓮華経」

法華経というのは経典の一つです。晩年のブッダがインドで説いて以降アジアの様々な国に法華経はもたらされました。28章からなりたつ法華経は、かつて聖徳太子も解説書を書いたといわれています。 天台宗の開祖である最澄も法華経の教えを基本としています。日蓮は、この法華経の教えを独自に解釈し、飢えや争乱で苦しむ人々を救うため、各地で説法を繰り返したのです。日蓮宗ではこの法華経の内容から題目を唱えることで成仏できる、との考えがあるため現在でも日蓮宗の葬儀や法要では「南無妙法蓮華経」の題目を僧侶があげています。

数珠のかけ方
お題目を唱える時や回向をする際には
房が3本出ている方を左手の中指に掛け
一度ひねってから房が2本出ている方を右手の中指に掛け手を合わせる。
合掌する時は2重にして左手に持ち、数珠を両手で挟むようにして手を合わせる。
特に念を込めるときには、両手に掛けることもあります。
焼香のあげ方
使用する線香の本数は3本が一般的です。
日蓮宗の焼香の回数は3回が正式といわれています。
焼香台の前で合掌し一礼した後
右手親指、人差し指、中指で焼香をつまみ、
額まであげ押し頂いてから香炉にくべます。
その動作を3回行います。
※時間を短縮させる為1回のみとなることもある。
日蓮宗の行事
丑寅勤行
興師会
宗祖誕生会
御霊宝虫払大法会
立宗会
大行会(南条時光追善法要)
宗祖御難会
仏壇の飾り方
中央にはご本尊として十界曼荼羅か、釈迦牟尼仏
あるいは三宝尊のいずれかをまつります。
右に「鬼子母神」を
左に「大黒天」をまつります。
そしてそれらの前中央に日蓮聖人をまつります。

ご本尊についてはこちらで分かりやすくご紹介しておりますので併せて参考にしてください。

葬儀の特徴

葬儀

日蓮宗の葬儀は、「南無妙法蓮華経」と題目を唱え、故人を霊山浄土へ旅立たせる儀式です。これを唱えることが最も重要な修行であるとされており、式中も参列者全員で題目を唱えます。

咒讃(しゅさん)
咒讃は唄や器楽による供養のことです。一般的に宗派を超えてにょうはちと呼ばれるシンバルのような法具がありますが、日蓮宗ではそうばつと呼び、ばつを回してから打ち合わせる独自の奏法があります。
読経・唱題
読経、唱題では、全員での経本の読み上げや南無妙法蓮華経を何度も繰り返し唱える様子がうかがえます。